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宮城県支部・西多賀社会訓練センター 柴田邦臣・坂本浩士 |
本報告は、日本筋ジストロフィー協会東北本部・宮城県支部におけるパソコン活動のこれまでの成果を報告するとともに、その過程で見えてきた地域におけるパソコン活動の問題点と可能性を指摘することを目的としたものである。
東北本部・宮城県支部では、これまでパソコン・情報支援活動に取り組んできた結果、いくつもの成果を得ることができた。中でも特記すべきは、次の2点である。
(1)パソコン普及率の向上
(2)ML、BBS(電子掲示板)、各所ネットワークによる情報の共有化の進展
現に、この報告の内容は、タイトルも含めて大部分がMLや電子掲示板上で議論され、データを交換し合って作成されたものである。また今年は宮城県において、みやぎ国体・第1回全国障害者スポーツ大会が開催され、障害者が直接観戦したり、サポートするボランティア・スタッフの呼びかけにネットワークを利用するなど、パソコンの果たした役割は大きなものがあった。在宅・入所を問わず、パソコンは生活の質の向上に大きく貢献している。
しかし、このような成果を上げた宮城県支部におけるパソコン活動も、初めからスムーズに進展したものではない。東北など"地方"には、首都圏・都市圏にはない、地域特有のデジタル・ディバイド(情報格差)が存在しているからである。
(1)パソコン機器・ネットワーク資源・経済力といった「資源の不足」
(2)支援してくれる技術のある人材や企業・団体などが存在しないといった「技術の不足」は歴然とした事実である。
宮城県支部では、これまで不足を補う為に様々な工夫をこらしながら、情報支援を進めてきた。首都圏・都市圏から遠く離れた地域にこそ、多くの適確な情報支援が必要であるとの思いからである。
(1)「西多賀社会訓練センター」でパソコン教室やボランティア活動を継続し、リテラシー(技術)を学ぶ場にすえることによる、「技術不足」の克服。
社会教育の場であるセンターのパソコン教室を利用し、みんなで技術を学びあうことで、それぞれがコンピュータ・リテラシー(利用する技術)を身につけ人材不足を補い合った。
(2)みやぎ国体・全国障害者スポーツ大会の委託を受けたNPO「アイケア福祉サービス」への情報支援。
支部側は学んだ技術や人材を提供し、先方からはサーバ資源や資金的サポートをうけ、お互いに不足している資源を補い合った。その結果、支部としても国体・障スポに積極的に参加することができた。
このように、各自で工夫と協働を行うことによって、条件に恵まれない地方や地域においても情報支援を積極的に進めることが可能となる。宮城県では、現在、そのような協働がMLや掲示板群の「バーチャル・いこいの家」を中心に行われている。
インターネットを利用しながら、地域における情報支援を積極的に進めている宮城県のこの試みは、同じように資源が乏しくパソコン利用が思うように進まない地方や地域にとっても、大いに参考となるのではないか。
コンピュータは今や筋ジス患者とその家族の生きがいのみにとどまらず、障害・健常の枠を乗り越えた万人の生活に新たなる希望と可能性を吹き込む機器にまで成長しているのである。宮城県支部からは、各自が工夫と協働によって情報格差を吹きとばせるという確信のもとに、希望に満ちたドリーム・メッセージを発信したい。
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